第三章 白い龍と黒い龍

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「もしかして、パーティーには皆出てくるの?」 「もちろんよ。このパーティーは年に一度、大事な話し合いをする前夜祭なのよ」  ―――嗚呼、段々と見えてきた。  波戸崎家の不思議な力を頼り何百年間も関わってきた四つの家系がある。  その家族が一堂に会する機会が、これからは始まるパーティーなんだ。  四つの家が教団の中身なの? 「……すみれさんは、このパーティーには何度目の参加なの?」 「二度目よ。去年、私はそこで凱彦さんとの婚約を発表されたの」と言って、左手を顔の横に翳してきた。大粒のキラキラと輝く宝石がハートの形をしてくっついている。 「素敵でしょ?この婚約指輪、つける機会が普段ないから嬉しくて」と、彼女は乙女のように微笑んだ。幸せそうな様子に、自分とは比べものにならない程の温度差を感じてしまう。 「四つの家同士で結婚は……」と言いかけると、「それはないらしいわ」と素早く否定される。  ―――じゃあ、波戸崎家と天川家の人が結婚したなんて知ったら驚くのかな? 「そんなに仲良しというわけじゃないみたい。皆笑顔だけど、仮面舞踏会みたいなものよ。子孫繁栄を約束されているはずなのに、白鷺家のあの気難しい男の人。ゲイらしいの。結婚して子供を作るつもりはないみたいな噂を聞いたけれど」  彼女はそう言いながら、私の服に手をかけて脱がそうとしてきた。 「自分でやります!」と断ると、 「おしゃべりも良いけど、手も動かして。本当に時間がないから」と念を押されてしまった。  子孫繁栄を約束されている……。私はその言葉に過敏に反応している自分を感じて、胸が苦しくなった。  ―――私はきっと子供は生まない。そうはっきりと、知っているから……。
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