第四章 秘伝の能力の秘密

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 落ちる――――――  不安定な感覚の中、私は目覚めた。  何かを掴もうと必死で伸ばして手を掴まれ、その手が愛する夫のものではないことに驚いて、慌てて手を振り払った。 「……そんなに……」  耳慣れない声。  けれど、ひどく悲しそうにつぶやかれた。  頭がクラクラして、すぐに目が開かない私は手探りで掛布団を引き寄せる。でも、次の瞬間、その強烈な違和感に頭を殴られた思いがした。  手で自分の身体を触ると、服を着ていないことに気付く。さらに下へと手を持っていくと、下着の一枚も消えてしまっていた。  ―――――あり得ない。何も、覚えてないわ………  愕然とする。 「夏鈴さんの肌、すごく綺麗ですね」  男の手が私の髪を持ち上げてから、首筋から背中側へと滑り込んできた。 「触らないで!!」  咄嗟に防御したつもりで手首を掴まれ、身体の向きを無理やり変えられてしまう。目の前にやってきたその顔を見て、気を失う直前の記憶を引き寄せた。 「……ぼくを拒めないはずだ。ぼくらは結ばれる運命だったんだから」 「何を言ってるの?私にはもうとっくに」「聞いて」  私の言葉を遮った男は細く長い指で、私の顎を掴まえて持ち上げると、唇が触れ合う距離まで顔を寄せて瞳を覗き込んで来た。 「夢見の予言は高確率で(あた)る」
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