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―――これから、どうなっていくんだろう?
ふと、現実に戻る時。
嫌な予感はさらに濃度を上げて私の目の前を紫に染めている。
暗い紫のフィルター越しに見える未来で、白いドレスを着た私が傍若無人な最低男と共に赤いカーペットの上を歩いている。
なぜ?
なんのビジョンなの?
晴馬がいない。
そこには、居て欲しい人が居ない。
そんなの、いや!!!
晴馬の姿を探して、私の魂は彷徨っている。
石の階段を下りていくと、大きな空間に出た。
中央に円を描く細長い石が五つ置かれている。
―――石櫃。
―――――お墓?
その一つの蓋がほんの少しだけずれていた。中身を確かめるように、恐る恐る覗きにいくと、誰かの亡骸が横たわっているのがわかる。
黒髪、細い顎、長い首。
――― 嗚呼、そんな ――――――
その蓋を目いっぱいの力で押しやった。
白い着物を着て眠っているのは―――――――
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