616人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
「はるま!!!」
自分の声で目が覚めた。
顔の近くまで水位を上げた湯船にいる。もう少しで溺れるところだった。
バスタブを出て、タイルの上に座り込む。
瞼の裏にはっきりと残した映像が不吉過ぎて、頭を振った。
『しっかりしなさい!』
ハッとして、目を開ける。
目の前に居たのは、みすずちゃんこと幼い姿のままの野々花さんだった。
* * * * *
ピチョン。
冷たい水の一滴が顔を叩く。
その頼りない刺激だけでも、この時の俺は過敏になっていたせいで、飛び起きた。
冷たく固い床の上に直に転がされていたせいで、あちこちが痛い。
いや、それだけじゃない。
鎖骨に押し付けられた固い物から発せられた、強烈な電撃のせいで失神したんだ。あれは危険な行為だ。心臓に近いところにやってくるなんて、あいつはどうかしていやがる。
「……生きてる」
俺は猛烈にホッとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!