第二章 手繰り寄せられて

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 私が座ったソファは見た目よりもずっとしっかりしていた。座り崩れることなく、程よい柔らかさがあって座り心地はとても良い。かなり高級そうな家具だと感じていると。 「良い香でしょう?これは我が波戸崎家のために調合して取り寄せている一品ものなんです。上質で品のあるものを好むのはあなたも似ていますよね?血は争えませんね」  男もまた、目の前に座って紅茶を飲み始めた。 「薬は入ってないでしょうね?」と、念のために聞くと、 「入ってません。そんなことは必要ないですよね?だって、僕たちは家族なんですから」 「……家族?」  男はまた嬉しそうにニヤニヤと笑った。笑顔だけ見れば、燿馬とそう変わらない年頃にさえ見える。 「そちらは分家になりますね。あなたの祖母、野々花さんには兄がいました。知ってます?」 「……知りません」 「ははぁ、やっぱりそうですか。 野々花さんは捨てた実家の話は一切喋らなかったんですね? じゃ、常人にはない不思議な力の根源についてもご存じない……?」  話が飛躍してしている。  私はすぐに反論した。 「ちょっと待って。野々花さんのお兄さんて、さっきの?」  私が聞くと、彼は自分の頭をポンと叩いて苦笑いを浮かべた。 「あ、すいません。その説明が先でしたね。そうです。僕のおじい様は野々花さんの実の兄で、千歳と言います」  波戸崎 千歳。……あの人が?  野々花さんが教えてくれた、あの人の命が。  もうすぐ、終わろうとしている……。
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