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北海道にはアイヌ伝承の小人、まあ簡単に言えばフキの葉を傘のようにもつ北海道版小さなおじさん──コロポックルがいる。
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森にはフキが自生していた、そこらじゅうにあるものだから、勝手に採って母がよくお煮付けにしていた。フキは15センチから20センチくらいの大きさの葉っぱで、それに続く40センチくらいの茎、筋を取った茎のところを食べる。(もっと大きくなる種類もあるようだ)
通っていた池の周りにも、鬱蒼とした木々の根元にフキがいっぱい自生していた。
前話の決死の森脱出劇の時のこと──。
使っていたのは1.5メートルくらいの竿の先にテグスを結び、小さな棒ウキと小さな釣針、鉛の板オモリというシンプルなもの。
エサは自作の練りエサ──これが良く釣れた、なんて言ったって小麦に水、食紅で赤く染めて、あと、これが重要──父のブランデーをくすねてドボドボ入れて練ったものだ、耳たぶくらいの柔らかさにね。
これが大切、耳たぶの柔らかさ、忘れちゃいけない耳たぶの柔らかさ…。
小学四年生に酒を盗む罪悪感などない、飾っているなら俺が使ってあげる、そのくらいのつもりでちょくちょくくすねていた。
──いやいや本当に良く釣れた。
魚が臭いにつられて食いつき酔っ払っちゃう!
いつも爆釣──釣れるのはメダカに毛が生えたような大きさだけど…。
──だが、その日は何故だか釣れなかった。
何度か仕掛けを池から引き出しては、エサの具合を確かめ、溶けてなくなっていたら特別製造エサをミミズの形にして釣針に取り付ける、これを繰り返していた。その日は二時半頃に釣りを始めたので既に二時間ほど経っていたと思う。
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