05(次は王子を探しに)

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「大変だー! 大変だー!」  なんだ、なんだ? 外が騒がしくなってきた。  俺は近衛兵の装備をして部屋を出る。  辺りは兵士やら女中やらが走り回っていた。  俺は1人の女中に声を掛ける。 「どうしたの?」 「ソウ様、大変です。ジンボ王子が行方不明になりました」 「ゼニア姫のお兄さん?」 「はい。今朝から見当たらなくて…………空挺が1機、塔から離陸したみたいです」 「空挺に乗ってどこへ行ったんだ?」 「分かりません。まだ宮殿内に居るかもしれません。ソウ様も探して下さい」  女中は部屋を開けて中を調べる。俺の部屋も。一大事だな。  俺は歩いてゼニア姫の部屋に行く。ジャックが部屋の前に立っていた。 「ソウ、おはよう」 「ジャック、おはよー。鉄球が飛んで来るのを恐れてるのか?」 「痛いからな」  ガチャッとドアが開く。ゼニア姫が出てきた。 「2人とも、おはよう」 「ゼニア姫、おはようございます」 「おっはー。王子様が行方不明らしいけど」 「え? 王子様ってジンボお兄様の事?」 「空挺が1機、塔から離陸したらしいよ」 「誘拐か? ソウ」 「まだ判らない」 「ジンボお兄様は空挺の操縦が出来る。まさか1人で敵地へ……」 「休戦の親書が来たのに? 普通なら待つでしょ。メンソ国王は答えを出したの?」 「分からないわ」  また女中やらシモベの者達がカーペットをひっくり返したり、壺の中を覗いたり、大慌てで探しながら来た。
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