02(未知の異世界)

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 さて、楽しみだぜ。新しい世界カモンベイベー! 俺はパワー任せにリアを左右に振らしながら発進させる。コーナー手前でステアリングをインに切って、クラッチを踏み、アクセルを吹かしながらクラッチを繋ぐ、リアタイヤが滑り出したらすかさずカウンターを当てる。  楽しい! やっぱり、ドリフトって良いなあ。次のS字は繋げてみるか。ヘッドライトをハイビームにすると、ローブを着て羊の角を被った、いかにも魔王って感じの魔王が道の真ん中に突っ立っていた。ちょっと挨拶代わりにドリフトを魅せ付けてやるか。避けろよ? コスプレーヤー!  俺はコーナーに入る40メートル手前辺りでサイドブレーキをチョンチョンと引き、カウンターを当て、コーナーに突入する。避けない!? このコスプレーヤーは酔ってんのか!? ブレーキをっ……。  次の瞬間、ガッシャーン! 「ぐあああ! こんな奴に殺られるとは!」 「跳ねちまった…………どうしよう」 ――よく考えろ! 相手は酔っ払い。どう言い訳すれば良い!? とりあえず、車を停める。 「そこまでだ!」  何!? リアシートに誰か隠れてた。女……? 首筋に冷たい物が当たる。刃物かな? 「ちょっとタンマ、相手は酔っ払いだ」 「何を言ってるの? お手柄よ」  人を跳ねてお手柄とは……イカれた国だ。 「アナタ、志願兵ね。名前は?」 「南木曽だ、ソウって呼んで。とりあえず、そのナイフを収めてよ」 「あっ、これは悪かったわね」  女はナイフを仕舞う。 「君の名前は?」 「私を知らないで戦ってたの!? この魔法車を運転したの!?」  有名人かな? アイドルだったりして、可愛いし。……それにしても魔法車って何だよ!? 「俺は神様に愛されし、過去からやって来た英雄だ」 「フフフ、なにそれ。私はプリンセス・ゼニアよ」 「プリンセス? お姫様?」 「はぁ~、何も知らないで運転してたのね。まあ、下級兵なら仕方ないかしら」 「ところで跳ねちゃった奴はどうすればいい?」 「魔王、テオブロにとどめを刺したのね」
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