第1章

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「おいっ!お前ふざけんなよっ!!」  電話の主は、カーロス・リベラだった。その後のやり取りは、低次元の極みを尽くしたので、ここでは割愛する。とにかく、あの頃の私ときたら無茶苦茶な日々を平然と過ごしていたものだ。  薬も相変わらず大好きで、主治医から処方されていた一日三回の薬を、勝手に四回とか五回くらい服用していた。薬を多く飲み過ぎていたため、バイト先の事務所に給料を取りに行った時に、薬の副作用で手や足がガクガク震えてしまった。 「フタクチ君、どうしてそんなに震えているの?」  事務所のヘビースモーカー電話番野郎が、そう聞いてきたので、 「いや、この前のケンカで殴られてからです……」  下手な嘘だった。結局、明らかに様子がおかしいと思われた私は、その後順調に入っていたバイトの予約すら拒否されてしまい、実質上のクビになった。  日雇い派遣をクビになった私は、またアパートの部屋に籠るようになり、労働意欲の欠片(かけら)も無くなっていった。その後、約半年以上の間、私は、バイトすらやらずに家の生活費をくすねたりパチンコ屋で玉ドロをするなどの犯罪行為を重ねながら、その罪の意識すら無いまま、ただひたすらに退廃的な日々をやり過ごしていた。 「フタクチさん、面接の結果採用とさせていただきましたので来週から来てください」  当時、千葉市中央区本千葉駅前にあった、いつ行ってもガラガラの寂(さび)れたパチンコ屋の「ニユースター」に見習いとして就職が決まったのは、私が二十三歳の時だった。母は、パチンコ屋と言えども再び働きに出た私の事を嬉しかったのか?たまたま同じ本千葉駅最寄りの会社で働いていた母は、仕事帰りにガラガラのホールでヒマそうに働いている私の姿を覗きに来ては、喜んでいるようだった。 「タクヤ、偉いよ。頑張ってね!!」  なんて言われる事も、しょっちゅうだった。  母の喜びは、長くは続かなかった。結局、遅刻や早退、無断欠勤などが重なった私は、当然の如く「ニュースター」を一ヶ月足らずでクビになった。ショックだったのか?母は、暫くの間寝込んでしまった。 「申し訳ない……」  心の中でそう思っていたものの、これから自分は、どう生きていくのか?私自身は、能天気に考えていたのだろう。 「何とかなるさ。まだ若いし……」  なんて楽観的に、この悲観的に考えるのが正常な自分の状態を全く理解していなかった。
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