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山のいただきに立つルートヴィッヒは眼下に広がる雲海の美しい風景を見てうなだれた。
「また、失敗だ。これで何度目だろう」。
瞬間移動の練習をしている魔法使いの彼にとって、朝日に輝く雲海や、雲間に突き出たゴツゴツとした岩、また遠く雪をかぶった山々の美しい稜線も目に入らない。
「何が間違っているのか。どこで間違えたのか。呪文か、はたまた杖の振り方か」。
魔法の教科書のページをめくる手もせわしない。それもそのはず、魔法学校の卒業試験が一週間後に迫っていた。これで3度目、最後のチャンスだ。もしここで落ちたら、正真正銘の魔法使いにはなれず、魔法使いになりそこねた人間として一生、生きることになる。それだけは避けたかった。
しかし、
「ステッキがじゃまだったのか、それともフロックコートが重かったのか」。
そんな事にまで気になりだしたルートヴィッヒ、特訓の成果は出るのだろうか。
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