プロローグ

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プロローグ

「ラストォォォーーー!」  爆音の演奏の中、あらん限りの声で彼は叫んだ。  ライブハウスは満員の人間であふれ、最後の一曲だと理解したファンの悲鳴にも似た叫び声が爆音と共に響き渡り、ただ目の前には熱気だけが渦巻いていた。  汗まみれで今にも倒れそうなほど疲れきった体だったが、それでも彼の頭の中は冷静だった。 「この最後の一曲を歌いきったら、僕のバンドは終わってしまう」  そう理解していたからだ。  叫び声をかき消すように最後の曲のイントロが始まった。 「もう元には戻れないんだな」  そう考えた後、すべてを忘れるように彼は歌い始めた。
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