プロローグ

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プロローグ

 新学期がはじまった。そんな母校のグラウンドの横の道を歩きながら、しばらく足を止めた さほど広くないグラウンドでは野球部、サッカー部、陸上部と小さなスペースを分け合って練習している。けど、知らずに目に入るのはグラウンドの外周をランニングしている女子バトミントン部の列だ。体育館も分け合って使っているから、体育館が使えない時は外に出てランニングをしている。ラケットを手にもつてランニングをしているから、すぐに分かる。列の一番後ろに、まだ、練習着も揃えていない新一年生が、顔を真っ赤にしてつらなっている。  そうだ。あの娘を見つけたのはそんな時だった。列の一番後ろにいた彼女を見て、不思議な感情になった。もう30年も前のことだ。当然いるはずのない彼女が、あの時のまま、列の一番後ろでかけているような錯覚がとび、つい目でおいかけてしまうのだ。
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