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その日は、仕事上で思いがけないトラブルが起き、結局会社を出たのは深夜の0時を回った時間だった。 最寄りの駅へ着いたのはいいが、すでに終電が終わってしまい、 どうしたものかと思っていたが、そういえば多少歩くけど別の路線からも帰ることができることを思い出した。 「あっちはもう少し遅くまでやっていたはず」 近くの看板地図を見て行き方を確認すると、とにかくその駅へ急いだ。 ところがその先には、「回リ道ハコチラカラ」という看板とそれを示す地図が貼ってあり、 「こんな時に」と思いながらもその指示通り、ビルとビルの間の細い横道へ入っていった。 そこをさらに進むと、また同じような看板があり、やはり地図が貼ってあった。またかと思いながらも別の横道へ入る。それが4回も続いたときさすがに腹が立ち、誰もいない路地で一人、そのイライラをぶつけるようにその地図を破り捨て文句を垂れた。 時計を見れば、0時10分。 駅の最終列車の時間は確認できていなかったが、そこまで遅くまでやっていないだろうと焦りを感じ、結局はその指示に従う他はなかった。     
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