見知らぬ影

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体が震えてきた。呼吸が上手くできない。どうか酷い夢だと教えてほしい。 その時、同じリビングにいた母が 「どうしたの?」と心配げに声をかけてきた。 「・・・・忍さんが離婚したいって…」 そう言ったとたんに、涙が溢れて、あっという間に床を濡らした。 母が何か言っているのだが、なにも答えられずに、泣くしかなかった。 呼吸が上手くできない。止まらない涙。 母は私の背中を撫でてくれた。 離婚なの?そりゃ鬱病のせいで夫に迷惑をかけた。何回かリストカットしてみたり 自殺未遂をして、忍さんを困らせた。でも私の鬱病は夫の責任も大きかった。 彼には憧れの女性がいた。車のダッシュボードにはその見知らぬ女性がのプリクラが貼ってあった。  った。 「この女性、だれ?」 私たずねた。 「俺の一番大切な人だ。ハルさんていうんだ」 あまりにも、あっさりと答えた。 「山口県に住んでいてね。2回だけ会った。すごい美人でね、シングルマーザーなんだ。 すごく頑張り屋さんなんだよ」 でもそのプリクラに写っている女性は全然、美人には見えなかった。至って普通のかおだった。 「友子なんか目じゃないよ。俺、友子の顔好みじゃないもん。あーハルさんと結婚すれば良かったよ。 あー損した」 ショックのあまり、何も話せなかった。 ずっと黙りこっくってたら、 「なんだよお前。もしかしてハルさんに嫉妬してるの?かなり笑えるんだけど。俺は優香が好きなんだよ。優香とデートしてー」 そこまで言われて、涙がぽろぽろ流れ出した。 「なんで泣いてんの?ぶすが泣くと余計ぶすになるよ」
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