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「あ、汗かいてるから……ん、しょっぱい、でしょ?」
「甘いよ」
有羽の問いかけに一言だけ返し、智孝は首筋へのキスを続ける。口にしたように、有羽からは花のように甘く、いい香りがする。
「あっ……ん、ちょっと待って」
ボタンを外そうとする智孝の手を制止するようにぎゅっと握る有羽。ここにきておあずけをくらうことになるのかと一瞬不安がよぎったが、彼女は潤んだ瞳を向けながら口を開いた。
「恥ずかしいから、いいって言うまで目つぶってて」
言われた通りに目を閉じると、膝の上で感じていた彼女の重さが消え、代わりに衣服の擦れるような音が聞こえた。沈黙の中に響くその音色は、有羽の緊張を表しているようだった。
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