理性と欲望の天秤

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 それに対し、智孝が吹き出したのは言うまでもないだろう。 「どっからそういう考えが浮かぶんだ?」 「例え話だよ。ね、兄ちゃんならどうする?」 「どうって……時と場合によるだろ」 「う~ん、例えばこれから戦地へ赴かなきゃならなかったりとか、相手の身代わりとなって命を落とすとか」 「おーまーえー。それ、思いっきりゲームの影響だろ?里紗の奴、変なことばっかり教えるんだから」  ずばり的中した智孝の指摘に有羽は息を呑む。  確かに、智孝の妹である里紗と、つい先程まで遊んでいたテレビゲームの影響は強く受けていた。でも、有羽にとってそれはきっかけでしかなかった。  幼い頃からずっと一緒に過ごしてきたとはいえ、一応お互いの気持ちが通じた恋人同士なのだ。しかもそうなってからどのくらいの時が経っただろうか?  有羽は智孝ともっと深いところでつながりたいと願うようになったのだった。 「私、今日兄ちゃんの部屋に泊まるから」
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