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突然の告白に智孝は笑いをひきつらせたまま固まった。有羽の言葉を理解するのに数秒かかり、智孝は表情を変えないまま口を開く。
「は?何言ってるんだ、お前」
「今日は兄ちゃんと一緒に寝るって言ってるの」
やはり聞き間違いではない。有羽は今夜家へ泊まり、俺と一緒に寝ると言っている。つまりそれは……。
智孝は頭の中を整理しつつ、問答を繰り返す。
「ちょっと待て。意味分かってるのか?」
もしや男の部屋に泊まるということがどういうことか分かってないのだろうか?それはそれである種の虚しさが込みあがってくる。でも、先程の質問を考えれば、わかってないということはなさそうだ。それを証明するように、有羽は答える。
「分かってるよ。子供じゃないんだから」
智孝は困ったように有羽を見つめる。
「子供じゃないからまずいんだろ」
有羽は智孝から視線を外し、頬をほんのりと赤く染める。微かに躊躇いを見せ、彼女は言う。
「兄ちゃんはその……私ともっと一緒になりたいって思わないの?私は思ってるよ。兄ちゃんともっとたくさん話したいし、一緒にいたいし、手つないだりキスしたりとか、それ以上のことも──」
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