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ぐつぐつぐつ。
鍋と一緒に頭が沸騰するようだった。
智孝は有羽の言葉を待つ。
「私ばっかり兄ちゃんのこと考えてて、兄ちゃんは平気な顔してて……なんかズルイ」
「ずるいずるくないの問題か?」
うまく自分の気持ちが言えずに出た言葉に、智孝はすかさずつっこむ。
有羽もそんなじれったさから、口調が強くなる。
「だってわからないんだもん。兄ちゃんが本当に私のこと好きなのか。か、彼女として見てくれているのかなって」
「見てるに決まってるだろ?」
「でも……態度に全然出てない」
さっきキスしておいて、そういうことを言うのか。智孝は一つ大きい息を吐いた。有羽はというと、しばらく黙り込んだあと低く呟く。
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