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「勇気がないんだ」
「何?」
有羽は決意を固め、勢いよく顔を上げる。
「女の子がここまで言ってるのに!兄ちゃんの意気地なし!私、絶対帰らないからね。いーーーっだ!!」
その勢いに圧されたじろぎつつも、智孝はくるりと踵を返す有羽に声をかける。
「どこ行くんだよ?」
「里紗のとこ。泊めてもらえるように頼んでくるの」
あいつ──本気なのか?
有羽が去った後から鍋に視線を移すも、智孝の視界に料理が入る余地はなかった。有羽の言葉とその意味がぐるぐると頭の中を回っている感じだ。
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