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沈む世界で
しいて言うなれば、河原の小石のようにゆったりと、流れに身を削られるもただ丸く、眠り続けたいだけだった。木陰の涼やかなる場で埋まるのが一番だが、日照りに曝されて温む水に浸るだけでも良かった。
ずば抜けて何が出来るとか出来ないとかそういうものは無く、凡庸で。然れど常世に収まり続け得るものも持たず、貧弱で。その脆弱さは他で補う事も出来ないものだった。
むちゃくちゃな存在を知るだけに平凡さを知り、日常さえままならず常人を羨んだ。妬ましささえ抱けなかった。劣等感だけが焦げ付いていた。
せせこましい市中の話に甚振られては、淘汰される日を焦がれた。適正な枠に嵌まろうとしたのは過去の話だ。
かなしきことかな、消耗しきってしまったらしい。
いつしか溢れた者として早々に処分されるのを夢見た。
できることなら、二度と目が覚めないで、と今日も祈るように目を瞑った。
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