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ニュースはどのチャンネルも「嘘はついていないのでございます」という国会議員の映像ばかりを流していた。
茎ワカメが歯に挟まるよりもどうでもよい、と寝っ転がってザッピングするが、お目当ての番組は見つからない。
仕方なく録画一覧を開くと、お笑い番組と音楽番組の間に『今夜決定! 国民的アニメNo.1決定戦』という、なにゆえ録画したのか分からない番組があった。吸い込まれるようにわたしはその番組を再生した。
茎ワカメを頬張りながら国民的アニメTOP30を観て、26歳初日は更けていく。
時刻が0時を回り、26歳2日目に突入してしばらくした頃、国民的アニメ決定戦は佳境を迎えていた。
茎ワカメはもうない。奥歯に見事に繊維が挟まっている。
いじったスマホには1日遅れのお祝いメッセージが数件表示されていた。
「特技は10秒で寝れることなんだ」
「だーはっは。そんなの特技でもないでもないだろ」
アニメのキャラクターのそんな台詞がわたしの耳を刺激した。
ああ、そういえばわたしはこのキャラクターと同じなのだ。
そう、早く寝られることは特技でも何でもない。大人になればなるほど、短所でしかないのだ。
それに……。
女にとってそれは、致命的とも言っていい。
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