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眠りまくること。
はっきり悪い癖だと痛感したのは大人になってからだった。
今こうして一人で過ごしているのは、この癖のせいだと言っても過言ではない。
モテないほうではなかった。
だが、最長でも3ヶ月。わたしはすぐ寝る癖で、彼氏を悉く失っていった。
高校くらいまでは遊んでカラオケに行き、映画を観ればそれで良かった。帰りにキスをして、お互いに愛してると言い合えたものだ。
大人になると、それは通用しなくなっていった。彼氏たちはベッドでわたしに腕枕をしてくれた。
「千佳、愛してる」
そうささやいて優しくキスをしてくれた。
……とのことだ。
その時、すでにわたしは眠っていた。故に愛の囁きを聞いたことはない。何度となく「おはよう」と言った後のほろ苦い彼氏の顔を見てきた。
女だって先に男に寝られるのは寂しく思ったりするものだが、男はその数倍寂しいものだろう。
わたしだってそれくらいは分かる。それでも、わたしは寝てしまうのだった。
ある彼氏は愛想を尽かし、ある彼氏は狂ったように寝起きのわたしを怒鳴った。
申し訳ない。そう心から告げてもわたしは毎日健やかに寝てしまい、彼氏たちは離れていくのであった。
わたしだって彼氏にすべての愛で抱かれたい。
わたしだって大好きな彼氏の寝顔を見たいのだ。
そう思いながら、国民的アニメNo.1を確認することなく、わたしは今日も眠りについた。
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