1.悩みのたね

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 眠りまくること。  はっきり悪い癖だと痛感したのは大人になってからだった。  今こうして一人で過ごしているのは、この癖のせいだと言っても過言ではない。  モテないほうではなかった。  だが、最長でも3ヶ月。わたしはすぐ寝る癖で、彼氏を悉く失っていった。  高校くらいまでは遊んでカラオケに行き、映画を観ればそれで良かった。帰りにキスをして、お互いに愛してると言い合えたものだ。  大人になると、それは通用しなくなっていった。彼氏たちはベッドでわたしに腕枕をしてくれた。 「千佳、愛してる」  そうささやいて優しくキスをしてくれた。  ……とのことだ。  その時、すでにわたしは眠っていた。故に愛の囁きを聞いたことはない。何度となく「おはよう」と言った後のほろ苦い彼氏の顔を見てきた。  女だって先に男に寝られるのは寂しく思ったりするものだが、男はその数倍寂しいものだろう。  わたしだってそれくらいは分かる。それでも、わたしは寝てしまうのだった。  ある彼氏は愛想を尽かし、ある彼氏は狂ったように寝起きのわたしを怒鳴った。  申し訳ない。そう心から告げてもわたしは毎日健やかに寝てしまい、彼氏たちは離れていくのであった。  わたしだって彼氏にすべての愛で抱かれたい。  わたしだって大好きな彼氏の寝顔を見たいのだ。  そう思いながら、国民的アニメNo.1を確認することなく、わたしは今日も眠りについた。
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