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少しだけ進むと、
小さな駅には不釣り合いな程、
大きな桜の木があった。
その桜の木の側に、
一匹のゴールデンレトリバーが座っている。
犬の隣には、
中学生くらいの女の子がいる。
女の子はこちらを向き、近づいてきた。
「……この手紙、あなたの?」
『あ…、うん。ありがと。』
すると女の子は首を振った。
「私じゃかくて、グリュに。」
『……え?』
「拾ったの、私じゃなくて、グリュだから…」
『あ、う、うん…。ありがと。』
グリュ…とは、この犬のことだろうか。
私の言葉を理解したかのように、
グリュという犬は尻尾を振った。
「…この辺、人通り少ないから気をつけて。
風で飛ばされたりしたら、ほとんどはもう手元に戻ってこないから。」
『…あ、うん…。』
女の子と犬は行ってしまった。
(何というか、不思議な子だなあ…あの犬…)
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