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久し振りの水の中の世界を思う存分楽しんで、私たちは海から上がった。40分ほどのダイブで身体はすっかりと冷え、浜辺でウェットを脱いで防寒用のパーカーに袖を通す。
計器類は傍らに転がして、少し出てきた波の音を聞きながら砂浜に足を投げ出した。
「愛海。そろそろさ、ウミガメの卵が孵る頃じゃなかったっけ」
「もうそんな時期?待って、えぇと……」
スマホのカレンダーを開いて、産み落とされたのを見つけた日を調べると、2か月が経とうとしてる。
この浜の奥まった所、波打ち際から離れた場所にそれはあって、この8月にウミガメが産卵しにやってきた。それが間もなく孵化するはず。
「そうだね、今夜の満潮頃に見に来よう」
「うん。決まりだ」
海から受ける様々なギフト。私たちはそれに触れながら毎日をゆったりと過ごしている。
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