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しばらく過ぎたその日も、伸介はサントコ授業で所沢校舎へ来た後、学食で瞬がやって来るのを待っていた。高尾は寝坊でもしたのか授業にすら出ていなかった。
「あー伸介さん、お待たせしましたー!」
「おお瞬君、大丈夫よ」
「あれ? 今日高尾さんは?」
「あー……あいつ授業にも来てなかったから多分寝坊したんじゃないかな?」
「そうなんですか。残念だなぁ……」
本当に残念そうである。
その後も飯を食いながら事あるごとに、
「高尾さんってどんな人なんですか?」
「高尾さんの作品ってここがこうで、こんなところがたまらないんですよね~」
と、怒涛の高尾さん高尾さんラッシュに、伸介は、
「本当にこいつ高尾の事が好きなんだな……」
と思いつつも、二人で飯を食べているのに自分が蚊帳の外に追い出されている様な、居心地の悪さを感じていた。
そんな面持ちで味のしなくなったカレーを頬張っていると、いつの間にか二人の席を数人の女子が取り囲んでいた。
「わ、なんだなんだなんだ!」
と伸介が取り乱す間もなく、女子達が
「ねえねえ瞬君さー、○×△……」
と一斉にまくしたてる。
なんだなんだ、いったい何が起こってるんだ……?
気が付けばさらにまた一人、女子がどこぞから湧いてきて瞬を取り囲んだ。伸介は精神面だけでなく物理的にも蚊帳の外に追いやられてしまった。
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