◎第9章 喜怒哀楽の申し子

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「一瞬で痛みもなく殺してあげてもいいんだけど、君は特別面白いからね、生かしておいてあげるよ。」  だから、芦屋は人間を見下している。  よもや動物側の逆襲などそれほど危惧していない。  その傲慢が芦屋の唯一の欠陥であり、人類が開放される唯一の突破口である。 「全部、忘れさせてあげよう」  そういって芦屋は、右手でそっとゲンの頭に触れた。仁彦がその様子をまじまじと見ているのを、全く気にもとめないで。
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