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◎第10章 アブラハムの幕舎
いずみさんの部屋からバタバタと、男達が出ていくと、部屋には女性が四人取り残されます。
気を失った珠ちゃんに、仁王立ちのいずみさん。
それに、私と母。
「いずみさん、珠ちゃんをお願いできますか?」
最初、私の目にはいずみさんが堂々と立ち構えているように見えました。
しかしそれは違っていたようです。いずみさんは汗を顎に滴らせ、僅かながら震えています。いわば、呆然と立ち尽くしていたといった方が正確でしょう。
「アタシは、出来ない」
「はい?」
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