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母は私の目を見てはくれません。
足元の、先程まで蔦の生えていた地面を見つめて、言葉を擲ってくるのです。
「屁垂れというのは?」
当然、殿下のことでしょう。
頷くのを待つまでもありません。
「仁彦。トーマンが彼こそフィリウスの最高傑作だと言ったわ。その力を恣意的に用いれば、人類は彼に平伏すだろうと言った。だから私は、梅子、あなたに彼に尽くすように言った。いずれ世界を支配下に治める者として、彼を殿下と呼び、立派に教育するように言い伝えたわ。」
しかしてどうして、母から殿下の酷評を聞くのは、無性に腹が立ちます。
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