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私には、母が語ったようなことを母に言われた記憶は微塵もありません。
けれども何故でしょう。
母の言葉が絶対だったのだと、私の根幹が訴えかけてくるのです。
どれほど考えても解けなかった難問の答えを言われたような感覚。
それはきっと、『私が何故殿下を慕い、彼の勅命に従順なのか』という問いに対する解答であったのです。
「全部おしまい。だから、戻ってきなさい。梅子。あの屁垂れから、私の下へ。トーマンへは私が話すわ。あなたは、親の言いつけに底はかなく素直だって。私の言葉に従って、どうしようもない男に尽くしちゃうほどにね。」
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