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少し前までの私であれば、恐らく戸惑っていたのでしょう。
私の殿下への忠信が、母の命令によって造形されていた事実の告知は、その忠信そのものが瓦解してしまう危険をも孕んでいたでしょう。
しかし私は、もう違う。
私は、殿下と時を刻み、共に闘ってきたのです。
「私は、殿下の言葉のみに依って生きます」
その言葉は、私の胸の奥底から何の突っ掛かりもなく吐き出されたものでした。
当然、母は私が何を引き合いに出してそう表現したのかを直ぐに分かったようでした。(キリストの「人はパンによって生きるにあらず、神の言葉によってのみ生きるものなり」という箴言)
「梅子はいつからクリスチャンになったのかしら? 私は親よ? 親の言うことが聞けないのかしら? これはあなたが生まれる前から決まっている絶対的な上下関係なの。」
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