◎第10章 アブラハムの幕舎

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 私は、上下関係とは争いを避ける目的で築かれたものであると考えています。この世界に上下関係があるからこそ、平和は保たれるのだと信じてきました。  猿や鶏など、人類以外にも上下関係は存在します。  それは、無闇矢鱈な戦いを防ぐためであります。平等とは聞こえがいいものです。ですが互いに異なる存在が平等であるということは、異なる部分で摩擦が生じることを意味します。上下関係の受諾とは、そういった摩擦を未然に回避する生物の叡智である。私は、そう捉えてきました。  つまり、私を巡る上下関係とは、私が争いたくない人にのみ成立する。 「では、私はあなたとの親子関係を破棄します」
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