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「梅子、あなたも随分と堕ちたものね。分かっているでしょう。夫婦や恋人は別れることが出来る。どれほど深い絆で結ばれた友とも、自由に離れることが出来る。でも、親子はそうもいかない。親子の縁っていうのは、切ることが出来ないのよ。」
母は、酷く冷たい目をしている。
「だから親子は破綻しても、互いに互いを滅ぼし合う。それも、徹底的にね。」
「ええ。ですから、私は殺します。」
母は溜め息をつきます。
それもわざとらしい、大きな溜め息でした。その意味は分かるのですが、気味が悪いことに、母はその溜め息に直後にニヤリと薄ら笑いを浮かべたのです。
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