0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
桜コレクション
どうしてあんな夢を見てしまったのかは、今もってよくわからない。
学校の帰りに少し遠回りをして、近所の神社で桜を見たからか――。
その時に、散り落ちてきた桜の花びらを手で受けたからか――。
それとも、特に理由などはないのか――。
あの日の夜中、僕は息苦しさで目を覚ました。
胸のあたりに何かが乗っているかのような圧迫感を覚えて、眠りを妨げられたのだ。
もしかしたら、『息苦しさで目を覚ました』という内容の夢を見ていたのかもしれない。
目を覚ました直後は夢とうつつとが判然としないものだが……。
その時もそうだった。
胸の圧迫感で目を覚ました僕は、朦朧とした意識のまま不安な気持ちにさいなまれていた。
これが世に言う金縛りか。
あるいは、心臓に何か異常でも起きてしまったのか。
あおむけに寝たまま首だけを起こして自身の胸元の胸を見る。
女の子が正座をしていた。
僕の胸の上に、女の子が正座をしていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!