警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 そして夏菜の事情聴取が終わると同時に、バイトから帰って来た勇真がリビングに顔を出す。 「事情聴取? いいけど、早くしてよね。僕は疲れてるんだから」  少しパーマがかった髪をいじりながら、勇真は言う。  その両手の指には、たこが出来ていた。  時々位置が直される、鏡のように電灯を反射するメガネ、それは勇真によると、新品であるそうだ。  勇真の話では、勇真は父親に認められていなかった。  だが勇真は諦めずに、一生懸命彫刻の勉強をしていた。  自分を認めてくれなかった父親は憎らしい、しかし犯人は許せない。 「だからお願いだ。犯人を捕まえてくれ」  勇真は湊人たちに頭を下げて、そう頼むのだった。
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