警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 湊人たちに戻るよう連絡が入ったのは、日が西に沈みかけていた頃である。  第十九課の部屋には先客がいた。  下谷(しもや)小晴(こはる)、捜査一課の女性刑事だ。 「今回の事件に関して周辺の防犯カメラを確認したところ、死亡推定時刻である三日前の午後十一時に不審な人物が映っていました」  小晴が差し出した写真には、マスクを着けた男性が写っていた。  防犯カメラの映像では、その男性は橋本家から地下鉄の駅のほうへと走っていったという。 「もしかしたらその男性が犯人かもしれない、ということか」  湊人の言葉に、小晴は頷いて続ける。 「一課では、この男性について調べます。なので、十九課の皆様には引き続き、橋本家のほうを調べていただきます」 「ほう。強盗致傷と殺人の両方を、本格的に調べるということか。なるほどね」  そう言って湊人は、遊星と翔大を連れて、また現場へと繰り出す。
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