警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 湊人(みなと)は激怒した。  必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した――わけではない。  湊人は足を踏み鳴らしながら、第十九課の部屋へと向かっていく。  そして派手な音を立てて、扉を開け放った。 「どうしたの、そんなに怒って」  部屋にいた同僚、遊星(ゆうせい)が駆け寄る。  奥のソファでくつろぎ、読書をしていた翔大(しょうた)も顔をあげる。 「犯人は……この中にいる……」  湊人はそう言って、部屋の中を歩き回る。
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