警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 窓ガラスは盛大に割れている。  外から衝撃が加えられたようで、部屋にはガラスが散らばっている。 「これ、心なしか右側によっている気がするんだが」 「そう言われてみればそうやな」  翔大は肯定を返す。  湊人は口を尖らせてボタンを操作し、次の写真を表示させる。  次の写真は、アトリエの壁際に並べられていたと思われる、作品の残骸だった。  木でできたそれらの残骸は、湊人には悲しそうに見えた。 「どうして犯人は、和雅の作品を破壊したんだろうな」 「ん……。憎らしいから、とか?」 「まあ、そうなるだろうな。だとすれば、野村は和雅を恨んでいた。そういうことか?」
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