警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 昼下がりの車の中で、三人は話していた。  ハンドルを握る湊人、軽食を頬張る遊星、後ろでスマホをいじる翔大。 「念のために確認しておこう。被害者は有名な彫刻家、橋本(はしもと)和雅(かずまさ)。  和雅は自宅のアトリエで殺害されているのが、和雅の奥さんである冬実(ふゆみ)によって発見された。  凶器は、遺体の近くに転がっていた彫刻刀だと判明している。そして」  湊人は資料を一切見ずに、つらつらと述べる。 「現場は荒らされていた――まるで強盗でも入ったみたいに、やろ」  翔大が湊人の言葉を引き継いで、スマホから目を離さずに言う。 「そうだが……。翔大、一体何を見てるんだ」 「今流行(はやり)の、SNSっちゅうやつやで。湊人もやりぃや」 「残念だが興味は無い。ほら、着いたぞ
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