警視庁第十九課 『彫刻家殺人事件』

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 近所では橋本家は、とても仲が良い家族だという評判だった。  だからこそ、事前に周囲への事情聴取を終えていた湊人たちにとっては、とても意外な情報であった。 「やっぱり、先入観って怖いな。もっと公平に、モノを見る目を養わないとな」  湊人の言葉に、現場を調べていた遊星と翔大が反応する。 「じゃあ、アトリエの状況を説明するな」  アトリエは約十畳ほどの広さで、壁際には以前、作品がずらりと並んでいた。  そこには南向きに大きな窓があり、遺体発見時、それが割られてガラスが内側に飛散していたそうだ。  そして、アトリエの中は盛大に荒らされ、今では作品は全て跡形もなく破壊されている。
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