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「高槻先輩、助けてくださいよぉ……」
「お前が全面的に悪いから却下。――にしても笹原。部の集まりすっぽかして、クラスの女のコに会いに行くとはねぇ」
高槻さんがにやりと笑うと、笹原君が私を庇うように私の前に立った。
笹原君は私がからかわれることが苦手なのを知っている。
全部が全部ダメというわけではないけれど、なんの前触れもなくその調子を振られることが苦手だ。慣れればもちろんそのノリについていくことも出来るのだけれど、初対面の人は特に駄目。
要は人見知りをするってこと。
「マキちゃん、巻き込んでごめんな。そっちも部活っしょ? 鍵閉めとくからもう行っていいよ」
そう言われて一瞬考える。
確かにこの場に私が居ても何も変わらなそうだ。笹原君を助けてあげたい気もするけれど、部の問題ならどうしようもない。
それに、私も今部活を抜け出してきている最中だ。すぐに戻らなければ他の仲間に迷惑を掛けてしまう。
「鍵、絶対にしめてね」
「まっかせとけって」
「本当に? よく閉め忘れてるじゃん」
「大丈夫だって! 高槻先輩にも確認してもらうから」
自信満々に他力本願を宣言されても。
私は高槻さんに少し目を向ける。「行っていいよ」と高槻さんにも言われてしまったので、私は教室を後にした。
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