第1話  【side――Y.S】

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「高槻先輩、助けてくださいよぉ……」 「お前が全面的に悪いから却下。――にしても笹原。部の集まりすっぽかして、クラスの女のコに会いに行くとはねぇ」 高槻さんがにやりと笑うと、笹原君が私を庇うように私の前に立った。 笹原君は私がからかわれることが苦手なのを知っている。 全部が全部ダメというわけではないけれど、なんの前触れもなくその調子を振られることが苦手だ。慣れればもちろんそのノリについていくことも出来るのだけれど、初対面の人は特に駄目。 要は人見知りをするってこと。 「マキちゃん、巻き込んでごめんな。そっちも部活っしょ? 鍵閉めとくからもう行っていいよ」 そう言われて一瞬考える。 確かにこの場に私が居ても何も変わらなそうだ。笹原君を助けてあげたい気もするけれど、部の問題ならどうしようもない。 それに、私も今部活を抜け出してきている最中だ。すぐに戻らなければ他の仲間に迷惑を掛けてしまう。 「鍵、絶対にしめてね」 「まっかせとけって」 「本当に? よく閉め忘れてるじゃん」 「大丈夫だって! 高槻先輩にも確認してもらうから」 自信満々に他力本願を宣言されても。 私は高槻さんに少し目を向ける。「行っていいよ」と高槻さんにも言われてしまったので、私は教室を後にした。
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