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「先輩っ、佐々木先輩っ」
走りやすいように、長い金髪をグルグル巻いてお団子にまとめる。
化粧が崩れても、気にせず走った。
ただひたすら、先輩に追いつくために全力で走り続けた。
ーー先輩。私、ずっと貴方に伝えたいことが。
ドンッ!!
「いてぇな」
「はぁ、はぁ、す、すみません」
ヤバい。必死になりすぎて前見てなかった。
しかもこの人達、どこかで見たことあるような……。
「あ、もしかして。俺達と遊びたくてワザとぶつかったとか?」
「いや、全然違いますけど」
「まぁまぁ~そう言わずに」
「そうそう。どうせ君も遊んでくれる男探してたんでしょ?なら出会ったついでに。ね?いいじゃん?」
男達の手が、私の肩に触れる。
湧き上がる嫌悪感のおかげでようやく思い出した。
確かこの人達、昔先輩を探してるとかで私に絡んできた人達だ。あの後、助けに来た先輩にボコボコにされてたけど。
「ねぇねぇ。ほら、あそこの店にでも入ってちょっとお茶でもしようよ~」
「そうそう。なんか汗かいてるみたいだしさぁ~。飲み物奢るよ~?」
「いや、私ちょ~~急いでるんで」
「つれないなぁ~いいじゃん。ちょっとくらい」
「いや、マジで。私なんかより、そこらへんの女の子捕まえてくださいよ」
「君も十分可愛いって!」
いや、そんなお世辞を言ってほしいわけじゃないんだけど。
というかこの人達も変わらないな。鬱陶しいとこも、しつこいとこも。
「もう!ホント離して!」
この人達に構ってる暇ないのに。
先輩に、会いたいのに。
「離して!!」
ーー助けて、先輩。
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