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「ギャルになったの?」
「えへへ~」
この春。高校生になった私鈴城凛は、佐々木先輩が通ってると言われている高校へ入学した。
と、同時に。私はギャルデビューを果たしたのだ。
まずは長い黒髪を明るい金髪に染めて、ゲジゲジになっていた眉毛を薄く剃り。二時間かけて顔を化粧で彩った。
耳にはハートのイヤリングを付けて、スカートはギリギリまで上げまくり。後は軽く甘い匂いがする香水を付ければ。
「どう?いけてるっしょ?」
「微妙」
「うそっ……」
意外と似合う自分脱帽したくらいだったのに。同じ高校へ入学した幼馴染の北風有は、ズバッと私の心を切り捨てた。
「というかそもそも、別に不良の彼女=ギャルってわけじゃないでしょ?」
「いやいや!中学時みたいな地味キャラじゃ、ぜ~~たい無理だって!」
「だからと言って、そんな大幅に変わんなくとも……」
有の眼が若干引いているのが分かる。そんなに見た目おかしいだろうか?結構勉強したのに、ここまで否定されるのは流石のポジティブ女の私でも、流石に心が抉られる。
「で、でもさ?ほら!好きな人の為に自分を変えるってのは、別に普通しょ?」
「いや。だからあんたのは変わりすぎ」
言葉の矢が、さらに胸を貫いてくる。
「そんなにおかしいのかなぁ……」
「おかしいと言うか……そのさ。無理してないの?」
「無理?」
「……いや別に、好きでやってんならいいんだけどさ」
なんだか気になる言葉を残して、有はそのまま下駄箱で靴を履き替え、自分のクラスへと行ってしまった。
「無理してないかって……」
でも。好きな人の為に自分を変えるのって、結構普通の事だよね?
多少の無理くらいはしないと、振り向いてすらもらえないかもしれないんだし。
「よし!次こそは有にも認められるくらい、可愛いギャルにならないと!」
「コラーー!!そこの生徒、なんだその髪は!!」
「やばっ」
初日早々、先生に掴まるのは流石に気が引ける。
よし。
ここはギャルらしく、屋上へ逃げて。授業サボろう。
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