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「具合でも悪かったの?」
「あ、いえ……」
「そう、なら良かったわ」
私の後ろで、しゃがんだままニコリと微笑むその人は。まるで女性の様な口調で話しかけてくるが。どう見ても男だ。
制服だって男子用のブレザーだし。声も低い。でも、顔は凄く綺麗だ。透明感のある最近流行の化粧で、とても上品に見える。
なんか、女の私が負けた気分になるくらい……。
「あ、れ?」
でも、この人の顔。どこかで見たことある気が……。
「それより。女の子が脚広げて寝てちゃ駄目よ?最初に見つけたのがアタシで良かったけど、もし普通の男子だったら危なかったかもしれないんだから!」
「す、すみません」
「全く。女の子なんだから、そのへんは気にしておきなさいね?」
「は、はい……」
「それより隣いいかしら?アタシ、お昼は屋上って決めてるの」
そう言うと、美形オネエ男子は遠慮することも無く。私の隣にストンと座って、白いランチ用のトートバックから、可愛らしいピンクのランチボックスを取り出した。
男子だけど、ちゃんとお弁当なんだ。しかも超可愛いし。
私なんて、コンビニで買ってきたメロンパンとコーヒー牛乳だけなのに。偉いなぁ……って。
「え、お昼!?」
「そうよ?貴女いつからここで寝てたの?」
スマホで時間を確認すると、確かにその針は既に十二時を回っていた。
「……あ、朝から寝てました」
「うそぉ!あはははは!凄いわね貴女!しかも見たとこ、一年の子でしょ?一日目にして早速サボりって逆に凄いわ!あははは!」
「う、うぅ……そこまでサボるつもりじゃなかったんですよぉ」
しかも初日で。
これはぜ~~たい怒られる。下手したら親まで呼び出されそうだよ……。どうしよう。
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