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「ま。一、二年のうちにそうやって馬鹿やっときなさい?三年になったらそうはいかないんだから」
「って事はその……三年生ですか?」
「えぇそうよ」
三年生。
ということは、この人に聞けば何か分かるかもしれない。
「あの!一つお伺いしてもいいですか?」
「あら?なにかしら?」
「その……佐々木竜二先輩という人をご存知ですか?私、どうしても会いたくて!」
口にする度。顔に熱を帯びていくのが分かる。
どうしよう、この人にも私が佐々木先輩の事好きって事がバレちゃうかも。
「……えっと。何か用事でも?」
「い、いえ。その……用事ってほどでもないんですけど。伝えたことがありまして」
「あら?何かしら?」
「いや!流石にその!自分から本人に伝えますので!」
「だから聞いてるのよ?アタシ」
「え?」
「それで?アタシに伝えたい事ってなにかしら?」
その瞬間。
ずっと引っかかっていた物が取れたような。思い出せない何かがようやく思い出せたような。そんなスッキリ感と共に私は、自分が今まで見てきた事を全て疑った。
中学時代からずっと好きだった人は、無口で、喧嘩ばかりする人で、目付きが悪くて。こんな……美形なオネエじゃなかったはず。
「もしかして……先輩って」
「そうよ?」
渡された生徒手帳を開く。
すると、そこにあった名前はーー。
「アタシが、佐々木竜二よ?」
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