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この恋は、変わらない
あれから一か月。私は先輩と話していない。
というか、なんだか気まずくて屋上にすら足を運んでない。
「はぁ……」
「ま~~だうじうじしてんのぉ?凛」
「だって……」
だって、ずっと頭から離れないんだもん。
「ごめんね」って言った時の、先輩の哀しそうな顔が。
「私、なんであんな事言っちゃったんだろ」
「さぁ?失恋のショックでじゃない?」
「うぐっ」
恋愛って、どうしてこうも上手くいかないのだろうか。
こんなに好きなのに、気持ちだけが先走りして、距離は全然縮まらない。
「私の何がいけなかったんだろう」
溜息を吐いて、なんとなく教室から窓の外を覗く。
夕日に染まったオレンジ色の景色。その下では、鞄を持って帰る生徒達の中に、先輩と知らない女子達と姿があった。
今の先輩は、友達が多いらしい。
人当たりもいいし、気配りも良く出来て、何でもできる皆のオネエさんとして、頼りにされているらしい。
「先輩が、遠く感じるよ」
昔とは違う先輩の後ろ姿。
手を伸ばしても、全然届かない。
先輩は変わってしまった。私が恋した先輩は、もういない。
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