ギャルになった私と、憧れの先輩

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ギャルになった私と、憧れの先輩

中学一年生の頃。 私は、一つ上の佐々木竜二(ささきりゅうじ)先輩に恋をした。 先輩は所謂不良というやつで、学校では有名な人だった。 髪はいつもオールバックに固めて、額には勲章のように残った傷痕。そして、一度狙った獲物は逃がさないと言わんばかりの鳶の様な鋭い目。 身長が高い割に、身体は結構細目で。それなのに、大の男を軽々と持ち上げて投げ飛ばしていた。 きっと特技は喧嘩って言いそうな位。毎日のように他校の不良と喧嘩しては、必ず勝っていた。 私は学年も違うし、時々廊下ですれ違う程度だったけど。どうやら普段から無口みたいで、どれだけ聞いても、佐々木先輩の事をよく知る人は全然いなかった。 私も、最初は皆と同じように佐々木先輩が怖かった。 なるべく三年の教室には近寄らないようにして、姿を見かけたら、目を合わせないようにしていた。 けど。ある日の学校の帰り道。 「なぁその制服。佐々木竜二って野郎とこの学校とこだよなぁ?」 「俺らさ。アイツに用事あるんだよねぇ~。良かったら、案内してくんない?」 「俺らと遊んでからってのもありだけど?」 私は、知らない男子高校生グループに囲まれて、逃げ場を失っていた。 助けて欲しくても、震えて声も出なくて。私はただ怯えて涙を流す事しか出来なかった。 けど、そんな時。 「オイ。なに人の後輩に手出してんだテメェら」 佐々木先輩が、私を助けてくれたのだ。 不思議とその時の先輩は、全然怖くなくて。寧ろ私は戦っている先輩の後ろで、ずっと先輩が勝つことをただひたすら祈っていた。 まるでドラマの様なシチュエーション。これで恋に落ちない女子がいるだろうか? それから数秒で高校生たちを倒した先輩は、私の手を取って優しく立ち上がらせてくれた。 その時の手の温もり、男らしいゴツゴツした感触が今でも忘れられない。 「ああぁあの!有難うございました!」 頭を深々下げてお礼を言うと、先輩は何も言わず去ってしまった。 その後ろ姿がまた素敵で、気が付けば私は佐々木先輩の虜だった。 佐々木先輩ともっと話したい。佐々木先輩の隣に立ちたい。佐々木先輩の見合う女になりたい。 その結果、私はーー。
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