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そう言って渡された一枚の名刺が、いま私の手の中にある。社名の載った良くあるそれを裏返せば、小さな右上がりの文字で、彼の電話番号が書かれている。
馬鹿みたいな話だ。ただ騙されているだけかもしれない。彼が悪人であってもおかしくない。
だけども、何故だろう。これを捨てる気になれないのだ。
もうじき25時になる。5コールだけ、そう、5コールだけ掛けてみて、もしも彼が出たのなら。その時は、彼の言う「愛」というものに、私を託してみようと思う。
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