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『桜の樹の下で待ってる…待ってるから』
『もう一度会おう』
『必ず迎えにきてくれ……待っているから』
いったい、ヒロシとわたしはいつ約束したんだろう。
三日前?一週間前?一ヶ月前?
思い出せない。
桜祭りの会場をふらふらと通りすぎ、気づけば市民病院に来ていた。
違う。違う。
ここに、病院なんてなかった。
むかし、このあたりは大きな工場だった。
住宅地も、団地も、公園もなかった。
ここには、鉄条網の張り巡らせた飛行機工場があった。
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