プロローグ

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プロローグ

 覚えのない記憶だった。  頭に過ぎった知らない女性(ひと)は、三日月みたいに目を細め、幸せそうに俺を見る。  夢というにはあまりにリアルで、蘇るように頭に浮かぶ光景が、徐々に増えていくことに怖くなった。  彼女を探してみようと考えたのは、この光景が何なのか確かめたかったからだ。  そして、助けてほしかった。  この幸せな悪夢を消して欲しいと、そう切に願っていた。
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