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昼下がりの電車は、ガラガラだった。
2人並んで座る。
「今日ね、朝、桜が満開ですごかったの。電車の外が、桜であふれてた。」
「春だねえ。で、桜のシャーベット食べてた時、そのこと考えてたの?」
バレていたようだ。案外、竹内洋平は私のことをちゃんと観察している。
「だって、ちょっとのあいだ、体が固まってたから。固まっているときって、何か考え事してるときだよね?」
図星だ。
「なんで知ってるの?」
私は憤慨した。
「だって、高校のときからそうだったし。固まってたかと思ったら、急にすごい勢いでノートに何か書いてたよね。」
まさか、そこまで見られていたとは。
「あれは、急に思いついたことをノートに書いてただけ。」
早口で私は言った。
「で、桜があふれてる話はどうなった?」
「えっ?ただ桜がすごいと思っただけ。」
「俺と一緒に見たいとか?」
「はあ??そんなこと言ってません。見たいなら、そのまま降りずに勝手に乗ってればいいじゃない。」
私はムキになって言った。
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